心を綴って届けます。泣きたい人へ贈るアンソロジー

『薔薇と哲学』/哀寂詩




『薔薇と哲学』



お庭に咲いた、薔薇が枯れた


縮れて茶色い花弁が少し


散らばって、湿気った風に


飛んでいく



刈った薔薇は、淡いピンクだったから


色水に漬け込んで、イエローみたいな青色に


染め上げた



私たちみたいだねって、お母さんに


渡してみたかったけれど


傷付くかなと思ってやめちゃった



淡いだけのキレイより、汚いものを


贈る愛を教えてみたかったけど


私は、変わり者って評判なんだ



だから、青く染めた薔薇もお庭に撒いて


同じ茶色に混ぜてみた


ピンクも汚れも、時が経てば見分けもつかない



恋人を呼び出して


枯れた花弁たちを、一緒に踏んだ


上手く咲かなかったよって嘘ついた



彼は、好青年って評判だけど


私のことが大好きだから


ちゃんと咲けよって怒鳴りながら


蹴散らした



私たちは笑いながら、踏んずけて


風に飛ばされた花弁を探しに出たよ



町中歩き回っても、見つからなくて


大きな家からはみ出した、立派な薔薇を


一輪、むしり取り


彼の頭に挿してやった



彼と私は抱きしめ合って


その家の人に、怒られた


夕日が窓から差してきて


私は寂しくて、泣いちゃった




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